第10回ビジネス交流会
平成26年11月27日
後楽園キャンパス3号館

「老舗に学ぶ企業長寿の秘訣」
~志 守るもの 変えるもの 継ぎ方 家族 創造的破壊・・・~

講演会講師

升本 正氏
(昭和63年中央大学経済学部卒 株式会社升喜 代表取締役社長 南甲倶楽部会員)
株式会社升喜:創業1875年(明治8年)酒・食品の専門商社 本社・日本橋

升本正氏

升本正氏

松田 敏之氏
(平成15年中央大学経済学部卒 両備ホールディングス株式会社 代表取締役副社長 南甲倶楽部会員)
両備ホールディングス株式会社 創立1910年(明治43年)バス、タクシー等の交通運輸、情報、生活関連事業等を含め13カンパニー、グループ50社 本社・岡山

松田 敏之氏

松田 敏之氏

今回で第10回目を迎えたビジネス交流会は約60名の参加者を迎え、竹内敬雄ビジネス交流副委員長の司会進行のもと、遠藤一義ビジネス交流委員長の開会の挨拶で始まった。次いで平成13年卒の小堀靖弘委員がビジネス交流会参加者の心得を記した「ビジネス交流会憲章」を読み上げると会場の雰囲気は一気にビジネスモードに切り替わった。

第1部は松田氏の基調講演からスタートした。
良くまとまった資料がモニターに映し出され、理路整然と語りかける姿は、単独で従業員数2,000人以上、連結で8,000人以上の大企業を牽引する若手経営者のイメージそのものだった。
しかし、講演が進むにつれ、完璧な資料や理路整然とした言葉の中に、大企業にも関わらず、個人商店のような家族的な人の温かみを感じずにはいられなかった。その理由は、すぐに分かった。講演の中でも随所にでてきた、人財を大切にし、リストラをせず採算の悪い事業があっても、他の事業を創り出してまで支え合ってきた歴史。そして今、松田氏が先頭に立ち、岡山を離れ東京を拠点とした関東圏へ進出する新プロジェクトを進めている。新旧、エリア、様々な形でグループ内で人が支え合っている。「これからは一層「人」が重要になる。」と断言しているところに人の温もりを感じたのだろう。
ちなみに、従業員の健康管理として30歳以上は全員人間ドッグを受け、問題があれば、それを個人でなく会社管理、それでも改善されなければ会長管理になるほどトップが率先垂範しているそうだ。

40分程の松田氏の講演の後、升本氏の基調講演は抑揚のある、もの静かな語り口調で始まった。株式会社升喜は創業1875年(明治8年)の醤油問屋から始まり、現在は酒・食品の専門商社として業歴140年を数える老舗企業だ。現在、日本の蔵元は全国に約1,500社あると言われており、実稼働しているのは約1,000社、その半分の約500社と取引があるそうだ。
1990年代から2003年にかけ、酒販免許制度の規制緩和により、スーパーやコンビニでも酒類が自由に買えるようになり、小売店のお客様が苦戦するが、小売店とともに乗り越えてきた。また、最近ではVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)によって来店客により気づいてもらう工夫、努力をお客様である小売店とともに新しく取り組んでいるそうだ。
今まで、日本酒、焼酎、ビール、ウィスキー、ワイン等など、様々な種類のお酒を扱い時代の変化に対応して乗り越えてきた。「30年に1度大きな問題が起こるが、ピンチをチャンスととらえ、乗り越えられるかどうかが重要。それを努力によって乗り越えることが大切。」と力強く締めた。

その後、前回初の試みだった「講師と参加者によるトークセッション」というスタイルを踏襲し、一方通行でなく講師と参加者が相互に講演テーマに深く切り込み、活発なトークセッションがなされた。
参加者からは、何故自分が継承したと思うか?軋轢やその克服法は?帝王学は?変えないもの変えるべきもの?はといった質問が、次から次へと参加者の経験談も含めて飛び出し、ここでは書ききれないが、両講師は幼い時から今に至るまでのありのままの話を同窓である南甲倶楽部の会員の為に披露してくれていたように思えた。

トークセッション後、ビジネス交流委員会担当専務理事の清水正行氏より両講師に謝辞と記念品が贈られ第1部が終了した。

第2部の懇親会は、上層階のパーティー会場に場所を移し、後楽園の美しい夜景を見ながら両講師、参加者による懇親会が行われた。講師の升本氏より振る舞われたお勧めの4種のお酒も加わり、リラックスした雰囲気でさらに交流が進み第10回目のビジネス交流会は大盛況のうちに終了しました。